2012/11/21

飲酒の進化的起源

美の進化的起源という講演を聞いた。
ヒトが美しいものを見たとき、なぜ心地よい気分になるのか、それを進化論で説明している。面白かった。
「美の進化論的起源」:Denis Dutton > TEDより

これまで自分の中で、進化論的になぜ「美」と「飲酒」でヒトが心地よい気分になるのかが疑問だった。Denis Duttonによる「美」の説明を聞いて、なぜか「飲酒」に関して思うことが出てきたので書いてみる。

単純に個体の生存という観点からすると飲酒という行為は悪い影響が強いように思われた。酔う事で判断能力や運動能力が低下し、活動の生産性も落ちて、しまいには捕食者の餌食になる可能性が高まると考えられたからである。このような行為で心地良くなってそれを繰り返す生き物がなぜ自然選択で残ってきたのか、それが疑問だった。
 しかしヒトがその祖先の時代から社会的な生き物である事を考慮すると、飲酒の良い影響が見えてきた。現実社会でもそういうことがあるが、飲酒により打ち解けてより多くの仲間とより親密になる事ができ、そうするとヒト社会の中でより優位になる機会も増え、結果的に異性からモテて子孫を残す確率が上がったかもしれない。また種々のストレスによる精神的疲労を回復させる効果もあっただろう。ただ、飲酒の生存や子孫繁栄に対する効果は、摂食や性行為などほど直接的ではないため、飲酒が苦手な人もまた多数生き残ってきたのだろうと考えられる。(さすがに摂食が苦手、というひとはいませんよね)