2014/04/27

つながる脳

数年前ちょっとしたブームになってたように感じていた社会性に関する脳研究に関する本。


つながる脳 (藤井 直敬) (新潮文庫)


著者は理化学研究所 脳科学研究センターでチームリーダーとして社会性に関する脳研究を進めている。基本的に一般向けの本なのだと思うが、特に序章と第一章で脳科学そのものや脳科学研究者の現状や問題を赤裸々に語っている部分があって、同じ研究者として非常に興味深かった。なかなかここまでさらけ出すことが出来る研究者も少ないと思うし、見習いたいと思った。第2章以降は社会性に挑戦しようとする研究の現状が書かれていて、確かに大事だということは分かったけど、まだ有効な方法論が見つかっていないのかなという印象を持った。いずれにしても序章と第一章だけでも、脳研究者をはじめこの研究分野に興味のある人には是非読んで欲しいと思う。

2014/04/23

生理研研究会「シナプス機能の普遍性と多様性」講演予定

2014年6月5日に平成26年度 生理学研究所 研究会「シナプス機能の普遍性と多様性」で「常染色体劣性遺伝性小頭症の発症機構の解明に向けて」というタイトルで講演しますので興味のある方は是非ご来場下さい。

2014/04/21

食欲の科学

前から読みたいと思っていた、食欲に関する一般向けのブルーバックス。


食欲の科学 食べるだけでは満たされない絶妙で皮肉なしくみ (櫻井 武) (ブルーバックス)


前半では、摂食を栄養学的な面から制御する恒常的機構の分子メカニズム発見の歴史とこれまでの知見を概観できる。ラット同士の体を縫合して血液成分を共有するというマッドな実験内容に興味をそそられた。 後半では、摂食の情動的側面を制御する神経機構の説明がなされ、そこに睡眠・覚醒の神経機構との関連も軽く示され、視床下部および大脳基底核付近でそれぞれを制御する神経細胞達が互いに絡み合っている様子が目に浮かぶようでとても面白かった。と同時に摂食の分野はまだまだ分かっていないことも多そうだ、という印象を受けた。