2011/02/28

ポスドクの醍醐味

最近、ラボの同僚がスウェーデンから帰国した。ジョブトークに出かけていて、ついでに将来住むことになる可能性のある街での生活を体感してきたという。物価が高い一方、人々はとても優しかったらしい。
ポスドクの良さの一つは、その自由度の高さにあると思う。 住む場所も、特定の国や地域に縛られない。ラボの中でも比較的雑用が少ないため、研究に集中しやすい。その分、スタッフよりは給料は低く経済的に不安定なので、「お金で自由を買っている存在」ともいえるかもしれない。なんともお気楽な生活で、理解を示してくれているとはいえ家族には時々ちょっと申し訳ない気持ちにもなる。将来は少し楽をさせてあげたいな、とも思う。でももうしばらく自由にしておいてください、とも思う。 今の「自由」は、きっと様々な出来事により簡単にやめなくてはならなくなると分かっている分、今はそれを満喫したいと思っている。
この時代、この国に生まれて、本当に恵まれていると思う。日本でも戦時中、ほんの数十年前にはこんな自由はありえなかった。この時代であっても、家庭の事情で博士課程に進めないことも十分あり得る。事実、僕も修士課程にいて進路を検討していた頃、親から博士課程へ進む費用は出せそうにないと言われていたが、運良く学術振興会特別研究員になれたから、勉強が続けられて博士号が取れた。だから家族はもちろん、そういった制度をサポートしてくれている周りの方々にも感謝したい。ポスドクという立場になれて本当にありがたいと、そう思う。
逆に自分が世の中に対してできることは、まずは有意義な研究成果を世の中に発表すること。これは自分なりにこれまでもしてきたことだし、税金でサポートしてもらっている研究者として今後も最低限続けなければいけない。今後は自分なりのいわゆるアウトリーチ活動を、色々試していきたいと思っている。
これからもポスドクとして自由を存分に謳歌しつつ、社会的責任もしっかり果たしていきたい。

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