2011/04/02

胎児の超音波検査と統合失調症

超音波検査が統合失調症の発症リスクをあげているのでは!?と想像したのでそのことをメモ書き。

まず、通常臨床で使われている程度の強度の超音波を30分以上当てるとがマウス胎児の脳での細胞移動を障害するという報告。

Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Aug 22;103(34):12903-10. Epub 2006 Aug 10.
Ang et al.

元々頻繁な超音波検査で出生児の体重が落ちるとか左利きが増えるとか言語発達が遅れるという報告があったらしい。今回は細胞移動。異常は小さいけど有意な変化。

で、細胞移動の障害を伴う変異で統合失調症様の行動障害が起こるという報告がこれら。

Nat Cell Biol. 2005 Dec;7(12):1167-78. Epub 2005 Nov 20.
Kamiya et al.

Neuron. 2010 Feb 25;65(4):480-9.
Niwa et al.

Disc1という遺伝子を発生期マウス大脳新皮質でノックダウンすると細胞移動がちょっと遅れて、最終的に成体で行動がおかしくなる。面白いのは異常行動が出るのがマウスの思春期頃で、ヒトで統合失調症の発症頻度が上がる頃と同じ。

ただDisc1は細胞移動障害を引き起こすだけでなく樹上突起のarborizationの程度とかにも影響を与えるので成体での行動異常の原因が細胞移動の遅れにあるのかは不明。実験は全てマウスなのでヒトでは違うというのは当然ありうるけど、ヒトでの発生の方が長期にわたるし、細胞移動の距離も長いので単純に考えるとヒトでの影響の方が大きい気がする。

ということで必要以上に超音波検査頻繁にやることは避けた方がいいのでは、、と思いました。まあそもそもそんなに頻繁に検査することはないんだろうけど、自分も含めて最近3D写真撮って喜んでる人多いし、事情はそれほど単純でもないかも、ということを頭の片隅においておいた方がいいのかな、と思いました。

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