2014/05/03

科学者という仕事

ちょっと珍しい、「科学者」という職業自体を解説した本。


科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか 酒井 邦嘉 (中公新書)


「科学者」という職業の定義はやや曖昧ではあるが、本書で解説しているのはおおよそ大学や(最近何かと話題の)理化学研究所などの公的な機関で主体的に研究活動をすることを生業としている人のこと、だと理解しておくといいだろう。科学とは何か、本来科学者がもっているべき哲学とはどんなものか、優れた研究をするためにはどんなセンスが必要なのか、それを得るためにはどんなプロセスを経てどんな訓練を積んだらいいのか、といったトピックについて、著者の考えに加えアインシュタインやチョムスキーをはじめとする過去の偉人達の言葉をふんだんに引用して解説している。ただこれはおそらく著者自身の性格がにじみ出ているのではないかと想像するが、全体的に大変「真面目」な見解になっている。現実にはこれほど厳格にストイックに科学者をしている人は少数派である気がする。私を含め多くの人はもう少しユルい感じでやっている気がするので、たとえ本書を読んで科学者の世界の敷居が高いように感じでも、実際は、きっと大丈夫なので心配する必要は無いと思う。いずれにしても、いわゆる「科学者」が、一体どんなことを考えてどんな動機でどんなことをしているのか、ということに興味がある人や、これから科学者になることを目指している高校生や大学生には、大変参考になる本だと思う。

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