2014/05/19

研究資金への「自由裁量分」の導入

最近ラボの先輩方と話していて思ったこと。

 研究に必要な資金(科研費やその他民間財団からの研究助成など)というのは、「基本的に」事前に研究者がその資金を得るために申請したテーマに沿った実験をするために配られる資金である。 「原則的に」申請したのと別のテーマに関する実験のためにその資金を使うことはできない。 しかし申請したテーマに沿った実験を行っているうちに、誰も想像していなかったような興味深い結果が得られることがある。 そのような結果は時に、申請したテーマとは別の、より重要なテーマの存在を暗示することがある。 その意図せず見つかった重要なテーマに沿った実験を開始するには、「原則的に」新たな研究資金をそのテーマで申請し、受理され、資金が交付されるまで待つ必要がある。

そのような正当な手続きを踏む場合、最短でも1年程度はその重要なテーマを「眠らせる」ことになる。 このような「眠らせ」ざるを得ない時間があることは大変非効率であり、もったいない。 

そこで、もし「すぐに研究を開始すべきテーマというものは一定の割合で、別のテーマの結果から暗示されることがある」という事に一般性があるのであれば、主要な研究資金の15-20%程度を、予め「自由裁量分」として認めてはどうかと思う。予期せず別のテーマの実験から面白いテーマを思いついた研究者は、今手元にある研究資金のうちの自由裁量分を使って研究を開始することができる。もちろんそのような「出会い」が無かった場合は、予定通りその自由裁量分は元々のテーマに沿った実験に使えば良い。

 STAP細胞問題を契機に、今後研究業界において暗黙の了解のようになっていた「グレーゾーン」に、今後次々とメスを入れていくことになると思う。その対象のひとつとして「研究資金とその使用実績の透明化の強化」が挙がることは時間の問題だろう。その際、このような「自由裁量分」を導入することで、現場との齟齬を減らすことができるのではないだろうか。

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